ファイナンスに苦手意識のある起業家は多い?―nanapi・古川健介
メルカリやスマートニュースなど、さまざまなベンチャー企業に投資し、支援してきたグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)が今年8月、新メディア「compass」をスタートします。
本シリーズでは、GCP・パートナーである高宮慎一が、投資先企業を直撃。現場の生の声を拾いつつ、ベンチャーキャピタル(=VC)視点から切り込みます。
第一回目である今回は、元投資先であるnanapi(現Supership)の古川健介さんが登場。ロケットスタート(後のnanapi)を起業し、2014年にはKDDIのグループ入り、2015年にSupership株式会社の取締役となった起業家・古川さんからこれまでを振り返り、VCとの付き合い方やファイナンスのどのあたりがわかりにくかったなどを聞きました。
(聞き手:高宮慎一)
[高宮慎一]
ベンチャーキャピタリスト。戦略コンサルティング会社アーサー・D・リトルにて事業戦略やイノベーション戦略立案などをチームリーダーとして主導した後、グロービス・キャピタル・パートナーズに参画。コンシューマ・インターネット領域の投資を担当する。主な支援先には、アイスタイル、ナナピ、カヤック、ピクスタ、メルカリ、ランサーズなど。最近注目しているのは魚釣り、金魚すくい。
[古川健介]
19歳のときに学生コミュニティサイト「ミルクカフェ」を立ち上げる。その後ライブドア、リクルートなどを経て、2009年、ハウツーサイト「nanapi」を運営するロケットスタート(後のnanapi)を共同創業。2014年にKDDIグループ入りし、翌年にはスケールアウト、ビットセラーと合併して新会社・Supershipとなる。現在はSupershipにて取締役を務める。
VCとエンジェル投資家の境目がわからない
高宮慎一(以下、高宮):改めて、よろしくお願いします。けんすうさん(=古川健介さん)とご一緒すると、なんというか、お嫁に行った娘と再び一緒に過ごしている感じがあります(笑)。
古川健介さん(以下、古川):わかるような気がします(笑)。
高宮:今回立ち上げた新メディア「compass」では、「業界内にある情報格差をなくしたい」と思っています。
そもそも投資家と起業家の間には、知識のギャップがあります。前提としての知識を持ち、その上で「より自社を成長させるには」「より世界で勝つためには」を考え、「VCをテクニックの1つとして使いこなせるのか」といった議論をしたほうがベンチャー業界としても健全だということをGCPから積極的に発信していきたいのです。
古川:実際に、高宮さんから見て「このへんは起業家に伝わっていないなぁ」と感じるところってどのあたりなんですか?
高宮:それでいうと、前にけんすうさんが「The First Penguin」で書いていたこちらの記事がそうですね。業態は記事の内容どおりなのですが、意外に「VCがExitするのはけしからん」「上場した後に株を売るな」といった意見もあったりします。
ベンチャーのExit戦略については、「ベンチャーのExit戦略については、起業家は最初から理解しておいたほうがいいかも – The First Penguin」この記事で、サイバーエージェントの藤田さんがすごいいいことばっかりいっていて、感動したのです。
古川:なるほど。そんなこと言われたりするんですね。
高宮:VCは、後ろにいる投資家から預かったお金をベンチャーに投資してリターンをあげています。なので、後ろにいる投資家から見ると、あくまで金融商品を買っているという話なんですよね。
つまり「未上場の株に投資します」と約束している金融商品なので、投資先が上場した後も株を持ち続けていると「別のところで上場株に投資しているから、そういうのはいらないよ」「君たちVCは上場株のプロじゃないだろう?」みたいなツッコミを受けてしまうんです。
古川:たしかに…VCの後ろにいる投資家としては、せっかくいろいろなところに投資をしてリスクを分散しているのに、VCが上場株を持ち続けたら意味がなくなってしまいますね。
高宮:そういう背景もあり、VCは投資した株を永遠に持ち続けることができません。VCのビジネスモデルとして、ベンチャーに投資をして、上場時かM&AにExitしてリターンを返す、というのが基本であり、投資家もそれを望んでVCにお金を預けてくれているんです。なので、VCの立場からすると、当たり前の知識なんですね。
一方で、起業家の目線に立ってみてわかることもあります。会社の成長は連続性があるものですし、IPOやM&Aはそのための手段であり、過程でもあります。VCの後ろにいる投資家たちから見た分類学には、本質的な意味がないわけです。
そこで大事なのは、資本市場の成り立ちやプレーヤー、動きを知り、うまくハックしたり活用したりして、自分たちのルールの中でより大きく強くしていくかなんですよね。起業家はそういった戦い方をしていくべきだと思うんです。
古川:高宮さんのおっしゃっていることはもっともだと思うんですが、一方で、社会人経験が少ない若い起業家だと、したたかさを得ろと言われても、どうしたらいいのかよくわからなかったりするのではないかなあ、と。投資家に求めるものとして、質問をしたり、決断をあと押ししてくれるような、いわば「大人に頼りたい」みたいなところもあると思います。
その「頼る人」としてエンジェル投資家を入れることはあると思うのですが、そこでVCを入れるという選択はたぶんちょっと違うんですよね。エンジェル投資家は、起業家側にたって応援をしてくれる、本当に「エンジェル」といった存在ですが、VCはあくまでビジネス上、お互いにメリットがある、ビジネスの存在である、というのが前提です。もちろん、ビジネスの取引でも、お互いに好意や情があって、なんとかよくしてあげたい、というのはあったりしますが、ビジネス的に非合理なことはできないわけです。
…という状況でありながら、いまいち起業家にとっては、エンジェル投資家と、シード期から入っている投資家の違いがわかりづらいというのはあるかもしれません。
高宮:僕らVCは、そういった「VCとエンジェル投資家の立ち位置の違い」など、知識やテクニカルなところを最初にきちんと説明し、納得してもらった上で入るべきなんですよね。ほかの金融商品でも、ちゃんと説明しないまま売りつけると金融庁に怒られたりするじゃないですか。そこに近いイメージですね。
古川:起業家側からすると、 最初から引く手あまたといったような状況はあまりないので、投資してくれる、という話になっても、契約の各論に突っ込みづらいというのはあるのと思うんですよね。
せっかく投資を決めてくれたのに、「契約書に細かく文句をいうなら、じゃあもういいよ」と言われてしまいそうな、そんなイメージというか。
高宮:なるほど。
とはいえ、契約書は投資でいう「入口」です。短期的にみると、パートナーになるVCと交渉をハードにするなんて…、と思うかもしれませんが、ベンチャー企業経営全体として見ると、長い道のりの中の最初の一歩にすぎません。
これからもっと苦しい局面がたくさんあります。だからこそ、最初の段階でちゃんとVCと対話できる関係性じゃないと、どんどん言いたいことを言いづらくなりますし、考え方のギャップは大きくなってしまいます。
他人任せでファイナンスが進んでいくパターン
古川:そういえば、nanapiが投資を受けるときも、1ヶ月くらい契約書の差し戻しをしていましたね。一文の表現をどうするか…みたいなところですごく話し合った記憶があります。ぜんぶ赤を入れて差し戻して、「ここは譲るからここは削除してくれ」みたいな話を大量にした記憶があります。
でも、ほかのベンチャーをみていると、契約書にそのままハンコを押しちゃうみたいなところもあって、「大丈夫かな…?」と思ったりしました。
高宮:ありますね。また、弁護士のいいなり状態になってしまうパターンもよくあります。
起業家が、契約書をよく理解しないまま「弁護士がこう言っているので」と、すべてを任せてしまう。当然、弁護士は起業家側の味方なので、利益を守りつつ最大化しようと条件をすべて押し込もうとします。
でも、信頼関係を作ってビジネスを進めていくには「譲る」「譲らない」などの折り合いをつけ、落としどころを見つけていく作業も必要です。もちろん、すべて自分でやる必要はありません。とはいえ、「この違いはなんですか?」と不明点を弁護士に聞いて経営的な意味合いを理解し、「ここは大事だから、絶対に戦うべきだ」と最終的なビジネス判断を起業家自身が下さないといけない。そこは起業家がオーナーシップを持ってほしいな、と思いますね。
古川:他人任せになっていて「どこまでリスクをとるのか」「どのくらいリスクを背負うことになるのか」がわからないのは怖いですね。
高宮:nanapiへ投資するとき、僕は優先分配やバリエーションの話もグラフ化して、
- プランA:こっちはバリエーションが上がるので、調達額も上がります。いきなり大きな勝負に出られます
- プランB:こっちだとバリエーションが低いので大きな調達ができない。でも、投資条件はあまりつかないです
と話をした上で「どっちを選んだほうがよりいけそうですか?」と議論を進めるようにしました。ほかの投資についても、このようにして話をすべきだと思うんです。
古川:CVC(=コーポレートベンチャーキャピタル、事業会社内で行われている投資活動を指す)の中には、キャピタリストじゃない人が担当だったりします。起業に関する法律の知識、となるとかなりニッチな専門分野になってしまうので、お互いに弁護士と法務担当だけでやりとりが終わってしまうところもあるのかもしれません。
当然、自分だけでは全部はできないので、プロに任せるのは非常に重要ですが、先ほど高宮さんがおっしゃったとおり、弁護士や法務は、最大限身を守るための対策をしちゃうんですよね。つまり、法律的なリスクを最小限にするのが仕事になるというか。
高宮:そうですね。となると、ますます落としどころがなくなってしまいます。弁護士と法務、お互いにちゃんと仕事すればするほど折り合えないという…。
結局のところ、VCは起業家を支援する黒子です。最終的な判断は、起業家が下すものです。VCとやるのであれば、納得感があったほうがいい。戦略上の話でも「どういったやり方があるのか」「どんなメリット・デメリットがあるのか」を比較し、検討する。
僕らも「どれがベストか」を一緒に議論しますが、決めるのは起業家です。提示されたオプションで許容できないものがあれば「やめる」という選択肢もあると知っておいてほしい。最後の最後は、今さら「やっぱりやめます」と言えない空気感になりがちですが、やらなきゃいけない理由なんて本当はないんですよ。
古川:そうですね。追い詰められているパターンは怖いですね。
高宮:ベンチャーは常に代替案を持ち、フレキシビリティを確保することが大事です。あまり状況に追い詰められず、全体感をみた上で、事業を伸ばすときのメリット・デメリットを天秤にかけつつ「これでいいのか?」を考える。心に余裕を持つための代替案があるといいですね。
起業家より経験豊富なVC
古川:ただ基本的に、起業家って社会人経験が少なかったり、まだ若かったりすることが多いですし、そもそも起業自体がはじめての人がほとんどです。そうすると、起業家より、契約したVCのほうが絶対に経験値が豊富になるんですよね。情報の非対称性も高い。
となると、VCが言っていることが正しい気がするので、なんとなく最終意思決定者のような気持ちになってしまう起業家も少なくないのはしょうがないと思うんですよね。会社は株主のもの、というのもありますし。
高宮:そこは難しいですね…。経験の差みたいなものもありますし、立ち位置的にも株主なので、起業家が気を遣ってしまうようなことはあります。そういった重みを少しでも軽くするために起業家の失敗に対しても、詰めるような言い方はせずに「今こういう状況になっているから、リカバリはこうしよう」と前向きに議論できるように心がけています。
僕ら投資家は、全能感を絶対に持っちゃいけないと思っています。投資家が「自分のプランがイケてる」と思うのであれば、投資なんてしていないで、自分でやればいいじゃん、という話になるはずなので。
なので、僕の場合は、起業家に「こうしろ!」みたいなことは言わずに、「これまで複数社を見てきた経験でいうと、こういう方法もあるよ」といった案をオプションとして出し、視野を広げる役割を果たそうと考えています。
そして、もちろんそのオプションの中から何をするかを決めるのは起業家です。
古川:でも、まだ経験値が少ない起業家だと、決めるのも難しくないですか?
実際に話を聞いた若い投資家の中で、ぜんぜん会社と関係ない、謎の「投資銀行に勤めている先輩」みたいな人から、「このビジネスはダメだ」といったようなネガティブな意見を言われて悩んじゃう人もいたりします。
個人的に、そんなにも自信を喪失しなくてもいいのに、とも思うんですけど、学生から起業したような人にとっては、頭良さそうな投資銀行の人のアドバイスって正しそうに見えちゃうのかなと。なので、VCの人からの意見って重く受け止めがちなんだと思います。
高宮:起業家は常に不安を抱えていますよね。とはいえ、その事業に本気で取り組もうと思っているなら、誰よりもその業界についてよく知らなきゃいけない。ユーザーの隅々まで見えていなきゃいけない。事業の初っ端で外部の人間から言われるアドバイスには一抹の事実をはらんでいるものの、それよりも深いところを見ているからこそ「克服できる」と言い返さないといけないとは思いますね。
ファイナンスに苦手意識を持つ起業家は多い
古川:起業家の中には、「そろそろ調達しないと会社が潰れる」みたいな状況的な追いつめられ方のほかに、単に資金調達活動が辛い、といったような、心理的な追いつめられ方をしている人もいると思います。
なんというか「調達しなければならない」みたいな感じで、自分を不利な状況に置き、誰も求めていないのに立ち位置を下にみて不利な条件でも受けなくちゃいけないと思っていたりします。
実際にファイナンスは考えることが多くて大変です。気持ちを楽にしたくて「不利でも受けなきゃいけない」と思考停止・放棄状態になったりもするのかなぁ、と。
高宮:これに関しては僕から質問したいのですが、そもそもベンチャーはリソースがない苦しい戦いを強いられます。その中で知恵を絞ったり、ルールをハックしてうまくやろうとしたり、とにかく必要な情報を調べるじゃないですか?
古川:はい、調べますね。
高宮:でも、ファイナンスに関する知識に対してはそうなりにくい傾向があるように感じています。これはなぜなのでしょうか? 起業家側からみてファイナンスに関するルールが明確じゃなかったり体系だってなかったりするから、勉強しづらいのでしょうか?
古川:契約書にはさまざまな内容や条件が日本語で書かれているので、それはあまりないと思います。『起業のファイナンス』を読んで勉強している起業家がほとんどですし。
高宮:では、応用編をイメージするのが難しいとか…?
古川:ファイナンスに関しては知識量の問題で、勉強するほど得られるはずなのです。知恵じゃなくて知識の話なので、地頭の良さは関係ないんですけどね。
あと、高宮さんとか僕とかは、何かをハックするのが好きなんだと思います(笑)。こういうルールであるなら、こうするとどうなるのか?とか。
高宮:それもありそうですね。
知識そのものに関しては、努力次第でみんな同じ土俵に立てます。ただ、それをきちんと理解した上で、ハックする方法を考えるのも必要なのかなと思います。
ファイナンスもある程度の勉強をした上で、ファイナンスを活用して、会社を一番成長させるルールを考えるというか。
まあ、そもそも知識が足りない状態だと「優先分配権が2倍以上だと危険らしい」という情報だけで判断し、選択肢に入れなかったりするので…もったいないなぁと思うんです。
古川:優先分配権のたとえでいうと、たとえば優先分配権が2倍だとバリュエーションが5億で1億を調達できる、ということだったら、優先分配権が3倍だとバリュエーションはあがるのか、とかを考えてみるということですよね。
ダウンラウンドでのExitのときリスクはあがる。でも、そのリスクがあがるだけで、より多くの資金を調達できるのであれば、取れるリスクかもしれないですし。
高宮:最近、僕個人が感じているのは、ベンチャーに限らず、資本コストと投資効率の概念が抜けているところが多いことです。たとえば「広告を打ってユーザーを獲得し、3年後に回収します」という投資の場合。これについてよく考えてみると、「3年後に1倍って、会社にとって投資効率がいいんだっけ…?」となったりします。
古川:たしかに1億円かけて「3年後に1億円です」となると、絶対にほかの金融商品を買ったほうがいいのでは?みたいなことはけっこうありますね。
僕も含め、起業家の中にはプロデューサー観点になってしまうパターンも多いので、時間とお金を投資して事業を回している感覚が希薄になりがちかもしれません。
高宮:企業の一部門や子会社を見るとき、ついP/L(損益計算書)に注目しますが、B/S(貸借対照表)やキャッシュフローを見て投資効率を出すことも必要です。もしかすると、B/Sの概念が薄い人が多いのかもしれないですね。
古川:そうですね。たとえば、大企業のとある部署の、一部門のプロデューサーとかになったりすると、一番合理的なのは、とにかく会社のお金を使って成功確率を上げるだけだったりするので、B/Sを意識しなかったりしますよね。
「そもそも金融とは」を理解していない?
高宮:起業家界隈で「こういうところがわかりにくい」といった声で、ほかにどんなものを聞きますか?
古川:今回話してみて気づいたのですが、「そもそも金融とは?」というところが抜けたまま、資金調達のテクニックの話ばかり学んでいる起業家もいるように思いました。
高宮:なるほど。
古川:ベンチャーキャピタルのビジネスモデルって、LP(リミテッドパートナー)と呼ばれる人たちがファンドに投資して、そのお金をGP(ジェネラルパートナー)と呼ばれる人たちが管理をし、運用していく…という形じゃないですか。LPは基本的に、ファンドにお金を出すことで、リターンを求めるのが基本ですよね。
ただ、ベンチャーキャピタルは「ベンチャーに投資をすることしかしない」人たちですが、ファンドに投資をしているLPの人たちは、投資先はいろいろあるわけです。不動産を買うのか、債権を買うのか、株に投資するのか、それとも上場未公開株を買うのか。その中の選択肢としてVCがあるというところから話さないと、全体的な構図がわかりにくいのかもしれないですね。
さらにいうと、そのVCが「どういうところに投資していて、今のポートフォリオがどういう形になっていて、自社がどういう立ち位置になるのか」まで理解できていると、わかりやすいのかなと。
高宮:そのあたりは見えにくいところなので、難しいところです。僕もVCをやっていてファンドレイズするまでは起業家と向き合い、いかに投資したお金を増やすかに集中していました。
ですが、やはりファンドレイズをやりだすと、起業家のお金を預かって、いかに効率よく回すか、という観点になりました。そこで初めて、投資効率を意識するところに行き着いたんです。会社でも、ひとつ上の上司の立場で物を考えて今の業務に当たれ!みたいな話をするじゃないですか。それに似ているのかなと思います。
古川:そうですね。たとえば「投資家から◯◯円を預けられている。通常の株式は△%で回しているので、数年後、■%のリターンを返さないと損になってしまう」といった観点を、起業家も知っておいたほうが、どういうスタンスで事業をやればいいかの参考になるかもしれないです。
高宮:投資家がどういったロジックで動く生き物なのか、その立場で考えてみる。そうすれば、起業家という立場にもいいフィードバックがありますから。