現役キャピタリストが語るVCへのキャリアチェンジ
グロービス・キャピタル・パートナーズとネットジンザイバンクが共同開催した「VC meetup #GCP」。自身のキャリアを踏まえ、「VCというキャリア」についてGCPから現役キャピタリスト3名(東明宏、福島智史、渡邉佑規)が登壇。銀行、事業会社異なった視点からVCへのキャリアチェンジを決めた経緯、新人キャピタリストのHARD THINGS、日々の大中小の業務、多岐にわたるVCにまつわるトピックを語り合った。
[東明宏]
株式会社セプテーニ・ホールディングスにてネット広告営業、営業企画、新規事業開発業務に従事。子会社役員を経た後、グリー株式会社にて経営企画、各種アライアンス業務、プラットフォーム事業立ち上げからマネジメントを経て、2012年10月グロービス・キャピタル・パートナーズ入社、現在に至る。
[福島智史]
ドイツ証券株式会社 投資銀行統括本部にて、M&Aアドバイザリー並びに資金調達業務に従事。 2014年4月グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。
[渡邉佑規]
三井住友銀行にて上場企業を含む中堅企業への融資および金融商品販売業務に従事した後、大和SMBCキャピタル(現・大和企業投資)およびSMBCベンチャーキャピタルに出向し、一貫してベンチャー投資に携わる。その後、SMBC日興証券の投資銀行部を経て、2015年7月にグロービス・キャピタル・パートナーズ入社、現在に至る。
グロービス・キャピタル・パートナーズ(GLOBIS CAPITAL PARTNERS)は、経営大学院やエグゼクティブスクールを通じてビジネスリーダーの育成・輩出を行うグロービスグループの一員である。同社がベンチャーキャピタル事業を開始してから、2016年でちょうど20年目。国内外の機関投資家からこれまでに累計660億円を預かり、2016年1月には160億円の第5号ファンドを組成した。これまで常に世界トップ25%以上の運用成績を残し続けている。
ファンド規模からすると意外かもしれないが、グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、「GCP」)は、10名のメンバーから構成されている。一社に対して平均2〜3億円を投資。ミニマム1億円以上の投資をベースに、ステージはアーリーからミドル以降を対象としている。
上記はこれまでの代表的な投資先の一部。これまでにIPOをした会社は、ワークスアプリケーションズ、グリー、アイスタイル、ライフネットなど。M&Aはnanapi、Quipper、しまうまプリントなどがある。現在進行中の投資先で、知名度の高いものではメルカリやスマートニュースなどが挙げられる。いずれも何らかの形でインターネットに関わる会社が多いことが特徴となっている。
銀行、事業会社、VCへ至るまでのキャリア
今回GCPから登壇したのは前職が銀行の福島智史、渡邊佑規、そして事業会社出身の東明宏。彼らはそれぞれどんなキャリアを歩み、GCPへジョインすることになったのか。
福島智史(以下、福島):私は2007年にドイツ証券に入社し、2014年に退職するまでM&Aの業務に従事していました。GCPに入ってから二年半が経つのですが、これまでに自分で投資時点から担当した案件は5件です。直近では、ヘルスケア分野にチャンスがあるのではないかと注目しています。
渡邊佑規(以下、渡邊):私は2004年に三井住友銀行に就職しています。初めの4年ほど銀行員として勤めた後、行内の公募制度に希望を出し、大和SMBCキャピタルというSMBCグループと大和証券グループが共同でやっていたプライベート・エクイティ・ファンドに行かせてもらいました。そこ(2010年からはSMBCベンチャーキャピタル)で累計6年半VCを経験した後、IBDに異動となります。これを機に、一年半前GCPへ転職しました。SMBCでVCをやっていた6年半の間に、22社に投資をさせていただいています。投資先に恵まれたこともあり、今時点で5社がIPO、2社がSuccess M&Aに至っています。そのおかげもあって、VCとしての新たなスタートを切ることができました。
東明宏(以下、東):私は二人とは全く違うキャリアでして、ずっとITベンチャーを渡ってきました。1社目はセプテーニというネット広告代理店。営業から始まり、営業企画の業務を行った後、最後は自分で企画した子会社の責任者になりました。2年間責任者を務め、最後はその子会社のサービスを売却し、グリーに転職します。グリーには経営企画で入社し、当初は各社とのアライアンス等、様々な業務を行っていました。一年経ったときに新規事業のプロジェクトにアサインされ(後のプラットフォーム事業)、チームが大きくなるにつれ、マネージメントに比重が移っていきました。セプテーニで5年、グリーで3年半過ごした後、GCPに入社。現在は4年目です。これまで、広告やエンタメビジネスを手掛けてきたこともあり、担当させていただいている投資先には動画の会社さん等のピュアなネットサービスの会社さんがある一方で、IT×不動産のような既存の巨大産業をネットで変革しようとする会社さんもあります。ちょうど今日、農業のITベンチャーへの投資が通ったので、また新たなチャレンジをしていきたいと思っています。
なぜVCへ?関係者皆がハッピーに、ベンチャーの急成長を支えたい
三人はなぜベンチャーキャピタリストという道を進むことを選んだのか。それぞれの経験と時代背景の中で、VCに至るまでの道程を語る。数あるのVCの中でも、なぜGCPにジョインすることとなったのか。
福島:新卒で前職に入った当時の2007年、学生の間にはいわゆる投資銀行ブームがありました。ライブドア事件の前後、リーマンショックの前なので、ちょうど投資銀行が栄華を誇っていた時代ですね。最初の三年ほどはほとんど仕事がなく、「このままクビになるのではないか…」と不安な時期もあったのですが、乗り越えたあとは、いくつかの大きな買収案件を担当させていただきました。特に印象深いのは、ソフトバンクがアメリカのスプリントという携帯会社を約2兆円で買収したディールをお手伝いさせてもらったことです。「この仕事で携わることのできる、最大の仕事だったのかもしれない」という思いもあり、転職を決意しました。
アメリカと同様、日本でも投資銀行に新卒で入った人は3〜4年すると、M&Aを取りに行ったり、広義のファンドに移る人が大半です。「プライベート・エクイティ・ファンド」と呼ばれる非上場の株式に投資をするファンドや、「バイアウト・ファーム」という上場企業を買い切り、業務改善や金融のテクニックによってリターンを出すファンドですね。僕もなんとなく同じ道を進むのかと思っていたのですが、自分が携わった幾つかの案件に触れるうちに考えが変わっていきました。
僕が最後に携わった案件は、国内の大手メーカーによるいわゆる「リストラ」案件でしたが売上が成長しない会社のコストを削減し、リターンを出すやり方はハッピーではないかもしれないと感じ、「同じ利益を出すのであれば、関係者皆がハッピーになる仕事がしたい」と思うようになりました。そこでベンチャーキャピタリストという仕事に興味を持ち、当時のヘッドハンターに依頼をして、最初に頂いた話がGCPだったという経緯です。
そもそも何故投資銀行から、バイアウトファンドへ移ることが本流になっているのだろうか。高額な報酬体系はもちろんのこと、エスタブリッシュである組織の強みを生かして、大型の案件に携われるという魅力があるのではないかと福島氏は述べる。例えば、最近では、日産の子会社であるカルソニックカンセイを米ファンド・KKRが買収することが話題になった。関係者にとってハッピーな形で利益を生んでいく仕事に従事したいと思い立った福島氏がベンチャーに見出した魅力とは何だったのか。
福島:ドイツ証券では、「自分の仕事は自分で作らなくてはいけない」というある種ベンチャーのような空気がありました。また、入社前のインターン時のメンターには、先日グリーの取締役を退任された青柳直樹さんがいらっしゃったり、一つ上の先輩では現在メタップスでCFOをやっている山崎祐一郎さんがいたり、最初に入ったチームにはドリコムCFOの後藤英紀さんらがいらっしゃったりと、今思えば、10年前に一緒に働きたいと思った方々はいつの間にかスタートアップ業界に集まっていました。
渡邊:私の場合、VCを志望した理由は大きく分けると3つほどあります。まず、一番大きいのは「富を生む仕事をしたかった」ということがあります。私の定義として「富を生む」ということは突き詰めると、雇用を生み出し、生産性を向上させるということです。富を移転させることで、手数料を抜くという類のビジネスではなく、富を生み出せる、その支援ができる仕事がしたいという思いが強くありました。これが一つ目の理由です。
二つ目の理由としては、ビジネスパートナー(VCで言えば、LP、投資先など)と同じ船に乗る仕事をしたかったことが挙げられます。自分が儲かるならば、相手も儲かる。相手が泣くならば、自分も泣く。こうした関係性を結びながらビジネスがしたかったのです。
最後の理由は、企業経営のど真ん中に位置する仕事をしたかったということで、VCを選びました。
東:私がVCにたどり着いた理由は前職の経験に依るところが大きいです。グリーでは新規事業として、プラットフォーム事業の立ち上げをやっていました。グリー上で他社のゲームを配信してレベニューシェアをいただく。という事業で、当時自分の上司だったのが、先ほど福島の話でもあった青柳さんで、「他社さんに配信をしてもらうだけではなく、投資もしよう」ということになったんです。グリーでゲームを配信してもらい、事業上も儲けさせていただき、投資としても儲けさせていただく。当初は投資業務についてほとんど無知だったのですが、この経験を通じてこの業界のことを知っていきました。
2〜3人で始めた会社が10人となり、20人、100人となる。6畳一間で始めた会社がビルのワンフロアになる成長の様を間近で目撃し、「これはすごい!楽しい仕事だ」と衝撃を受けたんです。それまで僕にとって投資業はいくつかの業務の中のワンオブゼムに過ぎませんでしたが、世の中にはこれを専業で行う仕事「ベンチャーキャピタル」というものがあると知り、興味を持ったことが経緯となります。
単純な資金の投資のみならず、VCとして投資先へのバリューアップを図るGCP。ベンチャーキャピタリストとしてスタートアップを支援する立場になった後で、事業会社においてサービスをグロースさせた経験はどのように生かされているのだろうか。
東:事業会社出身という経験をどう生かしていくか、は正直まだ模索中ではあります。ただ事業をやっている中で何に悩んでいて、どこにワクワクを感じているのかは、自分も経験をしたことがあるので、共感性高く接することはできるのかなと思っています。例えば夜の3時まで働いても全く苦痛に感じないあの感じとかは、事業会社にいたからこそわかるものかなとか。会社も事業も生き物で刻々と変わるので、今支援が欲しいと思っているタイミングで、しっかりサポートできるVCでありたいなと思っています。
VCは「総合格闘技」決まった形は存在しない
VCという仕事を思い浮かべたときに、まず最初に思い浮かべるのは投資にまつわるファイナンスの部分だ。では、投資の前後、日々の業務は具体的に何を行っているのだろうか。
福島:僕の場合は7年半ほど、四六時中会社の中にいる仕事をしていたので、この業界に移ってきた時はあらゆる点で違いを感じました。まずオフィスにほとんど人がいないということに衝撃を受けました。今日はこの場に三人が並んでいますが、実は久しぶりに顔を合わせました(笑)なので基本的には外にいることが多いです。何よりも起業家あっても仕事ですので、起業家に会うことが一番の仕事ではないかと思います。
もちろん新規の投資テーマ、投資先を探すことはもちろんですが、既存の投資先の成長をサポートすることも重要な仕事です。投資先の経営陣の悩みを聞いたり、サポートすることはもちろん、投資先が成長するために最良のチームアップを日々考えながら過ごしています。
翻って、どんな人がVCに向いているのかというと、あまり「これができる人」という像はありません。僕らは何も投資先のベンチャー人と会うだけではなく、いわゆるLP(リミテッドパートナー)という僕らに投資をしてくれている方々とも会うことがあります。極論、下は18歳から上は65歳まで多種多様なレンジの人々とコミュニケーションを取る必要があるので、「今日の服装どうしよう」みたいなことを考えながら生活をしています。その意味で、臨機応変に対応できる人でかつ、そもそも人が好きな人が向いていると思います。
VCから投資をするベンチャーはもちろん、VCに資金を集めるLP、キャピタリストが相対する人々が多種多様だというが、そうした人々とのアポは自然と入っていくものではないという。
福島:アポに関しては、少なくとも当初は自分で入れないことには入ってきません。ここがいわゆる”サラリーマン”と違う部分かもしれません。もしかしたら弁護士のような士職の方々と近いかもしれないですが、GCPというチームにいながら、個人でどれだけ頑張れるのかということもテーマになります。受け身ではなく、好奇心に溢れていることが求められます。過去のキャリアから「僕はこれができる」という武器ももちろん必要ですが、全科目を総合得点としてしっかり取りにいける人の方が向いているかもしれません。
渡邊:福島の意見とも被りますが、基本的にVCの仕事は「総合格闘技」だと思っています。一方で、何かをやりきった経験のない人は、しんどいかもしれません。逆に「俺はやりきっている」という自信のある人は適性があると思います。加えて、VCは極めて責任感が問われる仕事です。VCとして生きていく覚悟がない人は向かないかもしれません。
東:僕がVCの仕事で気に入っていることの一つは、形が決まっていないということです。VC業界自体まだまだ成熟の発展途上にあるということもあり、固定された成功モデルがないので、自分で作っていける部分があると思っています。アポイントメントを自分で取りに行かなくてはないというのはその一例です。自分で何かを生み出そうという人にとってはとても居心地の良い場所ですし、逆にそうではない対極の発想の人には辛いかもしれません。
VCとして独り立ちするための必要なこと
「VC」と聞くと、時代を作るベンチャーに投資をする、華やかなイメージを持っている人も少なくないかもしれない。実際は、日々あらゆるステークホルダーと対峙しながら、泥臭い局面も少なくないという。
東:最初はなかなか苦しいのが正直なところです。僕は事業会社出身ですが、ベンチャーの場合は良くも悪くも比較的すぐに成果が出ます。VCは成果が出るまですごく時間がかかります。僕の場合、4年目で初めて上場する投資担当先が出たんです。このギャップには最初戸惑いましたね。
福島:うまくいっている投資先がある一方で、うまくいかない正念場の投資先も当然ながらあります。うまくいっている投資先に関しては、正直やることはそれほどないんです。うまくいっていない投資先と一緒に乗り越えるということが仕事の大半になってくるので、それなりのメンタルは重要になるかもしれません。うまくいっていない会社のことを考える時間の方が長くなるので、そこをどうやって持っていけるのかという部分で、泥臭い部分は当然ながらあります。
イベントの後半、VCというキャリアに興味を持った参加者から「VCになりたてのときに苦労したこと」、「VCになる前の強みの作り方」、「直接的な投資、以外でのバリューアップの仕方」について質問が投げかけられた。
質問者1:東さんから「(VCには)決まった形がない」というお話がありましたが、VCに移ったばかりの、最初の一ヶ月。全くアイデアが浮かばないといった状況もあったのではないかと思うのですが、どういった生活を送られていたのでしょうか。
福島:僕の場合は、正直かなり辛かったです。東はグリー出身で、渡邊は元々VCをやっていたので、一定この業界とのコネクションがあるんですよね。対して、僕はピュアな金融の人間だったので、まず着るべき服すら分からないという感じでした。会社に来てみたは良いものの、誰もいない。何をしたらいいのか全く分からない。最初は本当に悩みました。
そこで一つレスキューになったのは、この仕事が学ぶ仕事ではなく、”真似ぶ”仕事だったということ。先輩のメンバーに付き添う形で投資先に行き、先輩の仕事を観察するんですね。頭の中で、「次にこの人はこんなことを言うのではないか」ということをシミュレーションするOJTが最初にありました。どの会社が投資対象になり得て、どの経営者が素敵なのか、最初は本当に判断のポイントが分かりませんでした。それから半年、一年と時間が経過して、少しずつ慣れていった感じです。
東:苦い経験談が続いてしまうのですが…僕が先輩と一緒に投資検討をさせていただいたときのことなんですが…投資先の社長と話していたんです。そのときに「あ、この人、先輩のことしか見てないな」ということを感じてしまったんですね。でも考えてみれば、起業家のみなさんからすると大事な会社。新人の僕よりはベテランの先輩と話をしたいですよね。ただ、個人としてはすごく悔しいと思いました。これをきっかけに、「この人に、自分が担当で絶対に良かった」と思われるように努力しようと決意を新たにしました。それからしばらくして、この投資先の社長さんから私のサポートについて喜んでもらえるタイミングがあり、そのときには「ワンステップ上がれたかな」という実感がありました。とっても嬉しかったです。GCPには目標になる先輩がいらっしゃいますので背中を見ながら、キャピタリストとして成長しやすい環境なのではないかと思います。
資金の投資以外でVCがベンチャーにバリューアップする方法
質問者2:VCになられる前に、どのようにして自身の強みを形成されたのかについて伺いたいです。自分が誰にも負けない強みを作った上で、VCになるのが理想かと考えていますが、お三方のご経験をお聞かせください。
渡邊:私の場合はコーポレートファイナンス全般です。もともと銀行員からキャリアをスタートさせたので、デッドファイナンスの基本を心得ています。その後VCに移り、2008年のマーケットがどん底の時代からキャリアを歩み始めたということもあり、VCファイナンスの吸いも甘いも一通り経験しています。また、IBDにも少しいたので、資本市場についても一定の知識があります。したがって、VCあるいはStartup周りのコーポレートファイナンス全般について、総合力では負けないという自負があります。
福島:業歴としては渡邊と近いですが、2007年当時のバンキングは「寝ないことが是」とされていた時代なので、その意味で体力とメンタルは負けないと思っていました。僕の場合はコーポレートファイナンスをずっとやってきたわけですが、どうしてもその考え方でVCを捉えてしまうという癖がありました。エクセルベースのものが得意だったので、当初はそうしたアプローチを探っていたのですが、そのときに先輩に言われたのが「アンラーニング(学習棄却)しろ」ということです。なので、今振り返ると定量的な強みよりは定性的な強みの方が結果的には良かったと感じています。知識に関してはある程度忘れ、「郷に入っては郷に従う」精神で、フィットすることを優先させたことがVCとしてうまく転がり始めたきっかけになった気がします。
東:「お前の強みは何だ?」と問われると未だに答えに窮してしまう部分がありますが、僕のベースになっているのは最初に入った会社で子会社の役員をやらせてもらったときだと思います。その際に「経営とはこういうものである」ということをかじらせてもらったことが基盤になっているのではと思います。小さい会社ではありましたが、経営者として、経営というものの難しさと面白さを同時に感じていました。加えて、ネット広告とソーシャルゲームという急激な市場伸長をインサイダーとして経験したことも今の仕事に少し役に立っているのかなと思います。投資先の課題は千差万別、様々ですが、似たような課題も存在するのだと思います。もちろん全く同じものなんてないので、私もアンラーニングしながらではありますが(笑)
質問者3:投資先へのバリューアップは大中小あると思いますが、資金投資という大の価値以外の、中小の価値提供について伺いたいです。日々どのようにして中小の規模を提供していますか。
東:起業家の悩みは尽きないものです。信頼関係を築くことで、日々様々な悩みをメッセンジャーを通じて頂くことがあります。その全てに答えられているかというと残念ながらそうではないかと思うのですが、どれだけそれを拾い、タイムリーに彼らの悩みに対峙できるかというところは大切にしています。
渡邊:ステージにもよりますが、「やれることは何でもやります」というのが答えだと思います。アーリーステージになればなるほど、やることはたくさんありますし、レイターステージ時になればそれほどやることはなくなっていきます。アーリーステージの会社に投資をした場合は、それこそ人事戦略の立案から実行まで投資先と一緒にやることもありますし、銀行借り入れが必要な場合は銀行に提出する資料の立案から協議やコミュニケーションも含めてを支援することもあります。とにかく自分がやれることは何でも端からやっていくという感じです。
福島:少しブレークダウンすると、自分にできること、できないことがあります。僕自身は起業家ではないので、起業家にしか分からない悩みも当然あると思います。そういうときは先輩の起業家を紹介します。成功した起業家が後輩の起業家の面倒をみる文化はしっかり根付いているので、そこをしっかり橋渡しをするのは僕らのバリューかもしれません。
ある有名なベンチャーキャピタリストの人に僕が同じような質問をしたときに語っていたのは、「良いニュースのときだけ、すごく大きく頷く」ということです。定例の会議をやる中で、良いニュース悪いニュース日々あると思いますが、良いニュースのときに「それ良いね」と言ってあげる。こうしたサポートの仕方もあるのではないかというのが最近学んだことです。