起業家&VC10名が仲間に推薦する必読書26冊
VCとしてたくさんの起業家にお会いする中で感じることは、起業家には様々なタイプの方がいますが、その多くに共通している特徴は「読書量の多さ」です。そんな起業家が仲間に推薦する書籍とは一体どんなものなのか、今回をそれを晒してみたいと思います。
先日渋谷某所にて起業家(主にエンジニア起業家)の集まる飲み会が開催されました。ひょんなきっかけで互いの推薦図書をおすすめし合う会に発展、互いのおすすめ本のノータイムポチリが飛び交いその場で累計50冊以上の本が購入されました。amazonさんお見事。
せっかくなので、誰かまとめてよ、というわけでここにまとめます。
まずは、参加者から。リブセンス取締役 桂大介さん、Aiming最高技術責任者 小林俊仁さん、MUGENUP代表取締役 伊藤勝悟さん、Increments(Qiita)代表取締役 海野弘成さん、Lang8代表取締役 喜洋洋(通称:やんやん)さん、WebPay代表取締役 久保渓さん、元エウレカCouplesチーム開発責任者 小西将史さん、サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV) 白川智樹さん、そして私GCP 上村。
では、早速まいります。
■Aiming 小林さん
韓非子―不信と打算の現実主義 (中公新書) 冨谷 至
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press) クレイトン・クリステンセン
コメント:
韓非子を読んだことない人は、時代背景と諸子百家の関係性が分かる冨谷至氏の韓非子から入るのをお勧めします。韓非が説いたのは、功利的な人間の本質を見ぬいた、圧倒的にリアリティのある国家統治の方法論です。 甲骨占いで政治の意思決定をしていた時代にありながらなぜこれほどまでに現実的な思考が可能だったのか。 読んだら絶対、うおー韓非超かっけえええ!!ってなると思います。学問のすゝめは、明治になり四民平等になったはいいものの、国民が封建社会に毒されて蒙昧なままでは日本の独立が覚束ないと義憤にかられた福沢諭吉が作った意識改革のためのツールです。独立の気力無き無知文盲の愚民をけちょんけちょんに dis る文章がそこかしこで出てくるのが非常に趣深いです。
愛するということは、僕の人生で一番影響を与えた本だと思います。 愛は、対象の問題ではなく、一時的な感情でもない。 愛は能動的であり、宣言であり、学べる技術である。 このようなエーリッヒフロムの主張は最初は受け入れがたく感じるかもしれませんが、何度も読み返したり経験が追いついたりして咀嚼できる範囲が広がっていきました。
イノベーションのジレンマは、 Aiming の立ち上げ時に、なんで僕らがでかいゲーム会社に勝てるか書いてあるから読むといいよ、といって会社のスタッフに勧めてました。
佐渡島さんの本は上記4冊の「返ってくる」とは別枠ですが、物事の本質を捉えるための行動や視点が良くまとまっていて、事を為そうとしてる人の背中を押してくれる良い本だと思うので、会話の中で挙げさせて頂きました。
■Lang-8 やんやんさん
カーネギー名言集 新装版 デール カーネギー
行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論 舞田 竜宣
コメント:
カーネギーの名言集じゃなくて、カーネギーが集めた名言集。落ち込んだ時に読むと非常に元気が出ます。非常にオススメで良く色んな人にプレゼントでもあげるくらいです。ちなみに、学生時代元カノにクリスマスプレゼントで上げてドン引きされ、自分が落ち込んだ時にも読みました。行動分析学マネジメントは、人に対する自分の反応がその後の相手の行動を変えるんだ、という本で、言われてみれば当たり前なのですが過去の振る舞いを色々反省した本でした。
■WebPay 久保さん
エスケープ・ベロシティ~キャズムを埋める成長戦略 ジェフリー・ムーア
コメント:
事業の成長で悩むたびに立ち返る本です。
■リブセンス 桂さん
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻 (ビームコミックス) 新井 英樹
スペクテイター〈29号〉 ホール・アース・カタログ〈前篇〉 エディトリアル・デパートメント
スペクテイター〈30号〉 ホール・アース・カタログ〈後篇〉 エディトリアル・デパートメント
コメント:
起業家向け漫画といえば「サンクチュアリ」が人気ですが、個人的にはワールド・イズ・マイン。こういう起業家が増えるとオモシロイなと思っています。スペクテイターのホール・アース・カタログ特集はぜひエンジニアに読んで欲しいですね。
■MUGENUP 伊藤さん
戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫) 三枝 匡
コメント:
スタートアップの創業にエンジニアとして参加し、CTOをやっているうちにビジネスも考えなければいけなくなった方へ。読みやすいです。
■Increments(Qiita) 海野さん
未来に先回りする思考法
ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?
How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント
コメント:
最初の3冊はIT事業の構造について理解を深めるためにおすすめです。後の2冊は思想書としてどうぞ。
■元エウレカ 小西さん
「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室 NHK「幸福学」白熱教室制作班
コメント:
幸福になるためにはどうすればいいのかを研究結果をもとに書いた本。自己啓発本と異なり、統計・分析がもとになっていてとても参考になった。
■CAV 白川さん
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か エリヤフ・ゴールドラット
[システム開発] 火事場プロジェクトの法則 ~どうすればデスマーチをなくせるか? 山崎 敏
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす マーカス バッキンガム
9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫) 鈴木 秀子
Den Fujitaの商法〈1〉頭の悪い奴は損をする (ワニの新書) 藤田 田
コメント:
80名/3プロジェクトのソーシャルゲームプロデューサーをしていて四苦八苦していた時に参考になった本をご紹介します。・プロマネ系(ザ・ゴール / 火事場プロジェクトの法則)
組織急拡大や、1プロジェクトに関わる人数の増加で、なんだか組織が上手くいってないな、と感じた際にぜひ。・人物理解系 (さあ、才能に目覚めよう / 9つの性格)
自己理解もそうですが、チームメンバーとやってみると相互理解が進んでやりやすくなります。・Den Fujitaの商法(1)-(4)
日本マクドナルド創業者の藤田さんが、今では世間を気にして言えないであろう語り節で商売について語られてます。
■GCP 上村
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫) 岡本 太郎
コメント:
「芸術は爆発だ」で有名は岡本太郎氏ですが、彼の思想は世の中のあたりまえを疑い、突き抜けた人間になるための独自の軸を持っています。読むとなにやら力が湧いてきます。
そして、ラストは特別ゲストで佐渡島さん、先ほど冒頭で小林さんが紹介した「ぼくらの仮説が世界をつくる」の著者で、数々のヒット作を世に送り出した編集者/現起業家です。
当初参加の予定ではなかったのですが、小林さんの紹介により皆が著書をポチった結果を送信したところ、急遽飛び入り参加をしてくれました。
■コルク 佐渡島さん
儚い光 (ハヤカワ・ノヴェルズ) アン マイクルズ
コメント:
昨今、小説には、リーダビリティが求められます。僕も編集者として、そのようなことを著者に要求します。『儚い光』は、決して読みやすい作品ではないですが、とても美しくて、完成度の高い小説です。このような本を書く作者が、作品に集中できるようなビジネスの環境を整えるのが、僕の役目だと思っています。シャオミは、SNSの使い方が世界的にもうまい企業だと思って、観察しています。この本に書かれていることを、コルクでは実践したいと思って、社員も読んでもらっています!
以上、総計26冊。一挙に紹介してまいりましたが、何冊ポチリましたでしょうか?
推薦図書ってその人の性格やスタイルが出て面白いですよね。リンクを Amazon アソシエイトのアフィリエイトリンクにすれば結構売れるんじゃないか、それでみんなでビールでも、、と魔が差しましたが、そっと邪念を追い払いました。本まとめが日々のインプットの一助になれば幸いです。
それでは、良き読書ライフを。
(左から上村、小西さん、久保さん、白川さん、海野さん、桂さん、佐渡島さん、小林さん、やんやんさん、伊藤さん)