GCP X/バリューアップ・プロフェッショナル
経営者から起業家に寄り添うVCへ。組織変革でスタートアップの価値を高めるGCP Xの役割とは
グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)は、次世代の産業をつくり、よりよい未来を創造することをミッションとして、スタートアップへの出資や事業拡大のサポートを行うベンチャーキャピタルです。
2021年には、投資先のバリューアップに特化した「GCP X」チームを新設。スタートアップの経営を上流から支援することで、ユニコーンの継続的な創出を目指しています。
今回はGCP Xで「バリューアップ・プロフェッショナル」として活躍する水野由貴にインタビュー。
大手人材サービス会社で新規事業を立ち上げ、代表取締役も経験した水野に、GCPに入社した理由やGCP Xの役割、チームの雰囲気などを聞きました。
(Photo by Ryohei Nomoto)
水野 由貴
GCP X/バリューアップ・プロフェッショナル
2011年、大手人材サービス企業に入社し、法人営業や新規事業の立ち上げに従事。戦略的子会社の立ち上げに参画し、代表取締役として事業拡大に貢献。事業譲渡を経て、2018年にグロービス・キャピタル・パートナーズに入社。現在は「GCP X」で投資先の組織開発に取り組んでいる。
「起業家の葛藤に寄り添いたい」新規事業開発や経営のキャリアを経てたどり着いたGCP
── GCPに入社する前のキャリアについて教えてください。
新卒で大手人材サービス企業に入社し、法人営業や新規事業開発に従事しました。
新規事業開発では、働く人々のメンタルヘルスに注目し、心の健康指数をIoTで計測するサービスを提供。健康経営への関心が高まっていた背景もあり、多くの大手企業様に導入していただきました。
事業は子会社化して展開され、私も執行役員として入社。その後、社長交代のタイミングで代表取締役に就任し、会社経営をすることになりました。
── 代表取締役というキャリアから、転職を選択したのはなぜですか?
今後の事業運営と自身のキャリアの在り方を見直したことが、転職の契機になりました。
子会社化まで漕ぎつけた新規事業の売上は、順調に伸び続けていました。しかし、中長期的な視点から見れば急速な事業成長を狙う時期ではなく、市場動向を注視しながら時間をかけて事業を育てていくべき状況でした。
一方で、親会社はグループ全体のスピーディーな成長を支える事業に注力したい意向があって。結果、他社に事業譲渡する決断をしました。
── その後、キャリアを見つめ直したわけですね。
改めて最も挑戦したいことを考え、経営者を間近でサポートすることを通じ、日本のスタートアップエコシステムの発展に貢献することだと気づきました。
私自身が経営で苦労したこともあり、起業家には信頼できるサポーターが必要だと感じていたのです。祖父も会社を経営しており、経営者が身近な存在だったこともこの考えに影響しているかもしれません。
── さまざまなスタートアップ支援の形がある中で、GCPへの入社の決め手を教えてください。
バリューアップチームに込められた想いに共感したことが決め手です。私がGCPの採用面接を受けていた時期に、バリューアップチーム「GCP X」の新設が進められていました。
アメリカのVCは組織に「バリューアップチーム」を設置するのが通例です。しかし、当時の日本には、この役割のチームを有するVCがほぼありませんでした。
面接でメンバーから「GCP Xによって、多くの経営者やスタートアップの成長を叶えられると確信している」という熱い想いを聞いて、心が動かされたのです。
国内ではチャレンジングな取り組みだったものの、歴史や実績のあるGCPなら、バリューアップチームとして多くの価値を提供できると考え、入社を決めました。
投資先の価値を最大化する組織づくりを追求。GCP Xのハードシングスとやりがい
── 水野さんが所属する「GCP X」とは、どのようなチームですか?
GCP Xの主な役割は、CxOメンバーを含めた採用支援や組織づくりを通じて、投資先の価値を高めることです。
弊社ではキャピタリストも投資先の成長を支援しますが、GCP Xはバリューアップのみに特化したチームです。
投資先の潜在的な組織課題を発見し、第三者の視点から細かなプロセスまで踏み込んで支援するのがGCP Xの特徴だと思います。
── 水野さんの具体的な業務内容を教えてください。
私は大きく2つの業務を担当しています。
1つ目は、経営や組織づくりの支援です。支援先のビジョンや経営戦略を確立させた上で、実現に向けて最適な組織の在り方を提案します。
2つ目は、採用プロセスの構築です。採用チームの組成や面接官のトレーニングなど、企業の採用力を高めることも重要な役割です。
やりがいのある一方で、組織づくりに失敗すれば、経営状況の悪化を招く可能性もあります。そのため、常に責任を伴う仕事をしている自覚を持って、業務に取り組んでいます。
── 水野さんが最もやりがいを感じる瞬間はいつですか?
支援先がIPOやM&Aなどのイグジットを達成した瞬間です。
昨今、出口戦略は多様化していますが、やはり上場セレモニーで支援先の経営者が鐘を鳴らす瞬間は、言葉で表現できない喜びがあります。
また、IPOを叶えた企業は、我々の直接的な支援を離れて新たなスタートを切ります。門出も意味する鐘の音を聞くと、これまで共にしてきた道のりが走馬灯のように思い出され、GCPでなければ味わえなかったであろう感慨深さに包まれるのです。
── 逆に、GCP Xの業務で苦労したことを教えてください。
まず、支援先の経営戦略をブラッシュアップする中で、数字で表せない事業価値を見いだすことには、常に試行錯誤しながら取り組んでいます。最初は何から始めるべきかすら迷っていましたね。
最近では、投資先の業界や他のスタートアップの事例などを徹底的に研究することで、少しずつ主体的な提案ができるようになりました。
また、VCとして経験豊富なメンバーが多い中で、どうしたら自分ならではの価値提供ができるかを考える機会も多くありました。
GCP Xのメンバーをよく理解することで、チームにおける自分の役割を明確化し、今では独自の視点から貢献できるようになったと感じています。
“縦横斜めの社内連携”で投資先を支援。GCPのオープンなカルチャー
── GCP Xでの業務に必要な知識やスキルは、どのように身に付けましたか?
基本的にはOJTが中心です。業務の中でわからないことは、気軽に周りのメンバーに質問しやすい雰囲気もあります。
また週1回の全体会議や出資可否を決める投資委員会は、社員なら誰でも参加可能です。上長やキャピタリストの議論を間近で聞けるため、良質な情報をインプットできます。
── 同僚や上司との関係構築はどのようにしましたか?
さまざまな社内イベントに参加する中で、年次や役職に関係なく、仕事や今後のキャリアについて相談できる関係を築けました。
社内イベントとしては、月に1度の全体集会やランチ会、年に2回ほど1〜2泊で開催されるリトリートなどがあります。
特にリトリートは、いつもはゆっくり話せない長期的なGCPのビジョンについてのディスカッションや、他チームのメンバーとアクティビティを通じて交流ができる貴重な機会です。
プライベートでも、社員同士で季節に合わせたイベントを行うこともあります。さまざまな部署やポジションのメンバーが気軽に参加できる雰囲気で、同僚や上司との関係性も自然と深まっていきましたね。
── GCPのカルチャーで、特に水野さんが気に入っているものはありますか?
年次や役職、部署を問わないシームレスなつながりがあり、他のチームの課題も全社一丸で解決するカルチャーです。
他のチームのメンバーと担当している案件や課題を共有し合うことで、解決の糸口が見えたり、打ち手を増やせたりするので、とても助かります。
── 会社のビジョンの中で、特に共感しているものは何ですか?
「日本から世界に通用するイノベーションを生み出していく」というビジョンです。
メンバーは共通して、日本や世界が抱える課題に対し、スタートアップの成長支援を通じて変革を起こそうとするマインドを持ち合わせています。
こうした組織の一体感や、社会的意義のある仕事に携わっている実感が、私がGCPで働くやりがいや原動力です。
現在、GCPでは新たなメンバーを募集しています。VCで働くことに興味がある方には、一度GCPの雰囲気を味わってみてほしいです。ぜひ気軽にお問い合わせください。