振り返ると私は常にアウトサイダーだったように思います。トルコ生まれの日本人で、トルコにいた時も日本にいた時も、常に周りとは異なる自分を自覚していました。トルコの大都会、スイスの山奥、アメリカの田舎町を経て、日本に「戻って」きたとき、日本人でありながらも母国をどこか客観視していた自分がいました。そのなかで、世界に誇る独自の文化を有し、世界が尊敬する国民性や価値観を紡ぎ、世界にEconomic Miracleと称された経済成長を実現しながらも、近年は「失われた何十年」を甘受している日本社会に強い違和感を持ちました。日本を改めて世界に誇れる国にするためには、時代に合わせた新陳代謝が重要で、なかでも新たな産業が生まれ続ける土壌が必須ではないか。そして自分は、この土壌を育むことをミッションにしようと誓いました。

そのミッションの実現の場としてGCPにジョインしたは良いものの、海外生活が長く、スタートアップ業界経験もない自分はここでもアウトサイダーでした。そんな自分に対して、目を輝かせて夢を語ってくれる起業家、圧倒的に優秀な人たちが切磋琢磨し続ける環境、革新的なプロダクトが生まれる瞬間、それらが新たなトレンドを生み出し生活や産業さえも変えていく様子。その一つ一つの心揺さぶられる瞬間が積み重なり、いつしかこのスタートアップエコシステムこそが自分のホームだと感じるようになりました。

今では、スタートアップエコシステムの発展こそが日本が再び世界で輝くための道筋と確信し、幼少期から今に至るまで一つの太い線が繋がった感覚を持つと同時に、遂に見つけたホームグラウンドで思う存分仕事できることに感謝しています。

今に至るまで一つの太い線が繋がった感覚を持っています。